最強の下半身強化術!ルーマニアンデッドリフトの効果と活用法

ルーマニアンデッドリフトっとデッドリフトの違いって何?

やった方がいいのかな?

確かにルーマニアンデッドリフトと普通のデッドリフトの違いは見ただけだとわからないよね!

デッドリフトの頭にルーマニアンとついている「ルーマニアンデッドリフト」は、一見するとデッドリフトと同じように見えると思います。

しかし、デッドリフトは基本種目でありRDLはあくまでも補助種目であり、デッドリフトのバリエーションの一つ。

RDLを取り入れるメリットや効果は?

今回はRDLについて解説していきます。

この記事でわかること

  • RDLの効果
  • RDL2つの特徴
  • RDLのやり方
  • RDLの間違い

ルーマニアンデッドリフトの効果

主に鍛えられる筋肉

RD Lでは、主にハムストリングス(太ももの裏側)、臀筋(お尻)、脊柱起立筋(背中の下部)が鍛えられます。


これらの筋肉は、日常生活の動作やスポーツパフォーマンスに直結する重要な部位です。


特にハムストリングスと臀筋は、歩行やジャンプ、ダッシュなどの動作で大きな役割を果たします。


また、脊柱起立筋を鍛えることで、姿勢の維持や腰痛予防にもつながります。全身のバランスを整えたい方や、下半身を引き締めたい方に最適なトレーニングです。

  • ハムストリングス
  • 臀筋
  • 脊柱起立筋

下半身の柔軟性向上

RDLは、筋力アップだけでなく下半身の柔軟性向上にも効果的です。


股関節を大きく動かすことで、ハムストリングスや臀筋のストレッチ効果が得られます。


この柔軟性は、怪我の予防やスポーツパフォーマンスの向上に直結します。また、日常生活でも足の動きがスムーズになり、疲れにくい体を作ることができます。

  • 股関節の可動域が広がる
  • ハムストリングスの柔軟性アップ
  • 怪我予防に効果的

他のトレーニングとの比較

ルーマニアンデッドリフトは、通常のデッドリフトやスクワットと比較して、膝の動きが少なく股関節主導で行うのが特徴です。


そのため、ハムストリングスや臀筋への刺激が強く、膝関節への負担が軽減されます。一方、スクワットは大腿四頭筋への刺激が強く、全身の筋力アップに効果的です。


目的や体力レベルに応じて、これらの種目を使い分けることで、よりバランスの良い下半身強化が可能となります。

種目主な鍛える部位特徴
ルーマニアンデッドリフトハムストリングス・臀筋・脊柱起立筋膝の動きが少なく股関節主導、柔軟性向上
通常のデッドリフト背中・臀筋・ハムストリングス全身の筋力アップ、重量が扱いやすい
スクワット大腿四頭筋・臀筋・ハムストリングス下半身全体の筋力強化、膝の動きが大きい

ルーマニアンデッドリフトの2つの特徴

RDLにはデッドリフトと異なる2つの特徴があります。

大腿四頭筋を使わない

ルーマニアンデッドリフトでは大腿四頭筋をほとんど使用しません。

その理由は膝がほとんど伸びた状態から動作が始まるからです。

完全に伸ばし切った状態ではありませんが、膝は非常に曲がりが小さい状態で大きく変化しないので、RDLの動作では膝を伸ばすために大腿四頭筋が力を出す場面がないのです

大腿四頭筋は※アイソメトリックに働いて膝の角度を前から固定する以外に役割がないので、RDLは股関節の伸展に特化した種目になります。

RDLのボトム付近での動作は、通常のデッドリフトであれば膝伸展筋群と股関節伸展筋群が協働する部分になりますが、大臀筋とハムストリングのみでおこなわれる形になります。

ハムストリングは坐骨結節にある付着部に作用して股関節を回し、骨盤と膝の裏側を引っ張り寄せるように働きます。このことから、ハムストリングと大臀筋がルーマニアンデッドリフトの主動筋肉となるのです。

※アイソメトリック:関節の角度を変えずに筋肉が力を発揮する、筋肉の長さが変わらない筋収縮

動作における収縮の違い

デッドリフトでは※コンセントリック収縮でバーベルを地面から引く動作からスタートし、バーベルを上まで引き切れば実質的に終わりなので、※エキセントリック収縮が強調されることはありません。

それに対し、RDLはスクワットのようにエキセントリック収縮から始まり、コンセントリック収縮へと続きます(RDLはボトム位置で止まることがないため、動作が連続で行われるため)

膝と股関節が伸展した状態から動作が始まり、身体を屈曲させながらバーベルを下ろし、※伸展反射を経てコンセントリック収縮で身体を伸展させていきます。

どんな場合でも、伸長反射が起こるとコンセントリック収縮は強くなります。これはエキセントリック収縮が起こるときに筋膜が伸展すると、筋肉や組織の中に反発するエネルギーが蓄えられることによるものです。

ジャンプを例にとると分かりやすいと思いますが、誰でも高く飛ぼうとする時は「膝と股関節を瞬間的に落とし込む必要」があります。

これがジャンプをするために収縮しようとしている筋肉に伸長反射をもたらします。

ジャンプにおいて「身体を落とし込む動作」というのはとても自然なものであり、高く飛ぼうと思うと勝手に体が最適な行動をとるのです。逆にこの反応を取り除くのは、やならいことを強く意識する必要があります。

デッドリフトでレップが上がっていくうちにプレートを地面で弾ませる人が多い理由もこの反応から来ています。

本来のデッドリフトではプレートが弾まないようにボトム位置でデッドストップさせますが、RDLは伸長反射がおこるのが本来の動作であり、チーティングではなく、伸長反射を上手に使うのはスクワット、ベンチプレスにも当てはまります。

RDLは大腿四頭筋の力を使うことは出来ませんが、ボトム位置で弾みを得ることで大きな重量を扱うことができます。

RDLでの伸長反射の影響は股関節伸展筋群にとどまるのです。

※コンセントリック収縮:筋肉が縮みながら力を発揮する、最も一般的な筋収縮の動きです

※エキセントリック収縮:筋肉が伸ばされながら力を発揮する動きで、力を入れている筋肉がストレッチされる状態です

伸長反射:筋肉が急激に引き伸ばされると、その筋肉を保護するために瞬時に収縮する、意識を介さない脊髄反射

ルーマニアンデッドリフトのやり方

セッティング

ルーマニアンデッドリフトは※ハングポジションよりも少し低い位置にラックのピンを設定します。

ハングポディション:バーベルを握って引き上げ、腕と膝をまっすぐ伸ばし、胸を張った姿勢

手幅

デッドリフトよりも5㎝〜7.5㎝広げた手幅でバーベルを握り、ラックに干渉しない最低限の距離を取れるだけ後ろに下がる

スタンス

スタンスはデッドリフトと同じで、踵を20〜30㎝開き、つま先を外に向ける

視点

胸を張り、自分の3mほど前に視点を定める

姿勢

RDLでは背中がまっすぐに固定された状態で股関節伸展筋群が働くことに最も意味があり、膝を少し曲げて大腿四頭筋を緊張させますが、これはバーベルの太ももに対する位置が〜5㎝下がる程度にとどまります。

膝の位置

膝の足に対する位置関係は少し変わりますが、膝の角度が変わることはほとんどありません。

つま先と足の甲の間の真上に膝がくる形になります。

一連の動作

・胸を張り、背中をそらせて固定する

・体重は踵にかけ、膝を後ろに引き、バーベルが脚から離れないように後ろに引き付け、お尻を後ろに引く

・バーベルを上げるときは膝の角度を変えずに、股関節の伸展させて挙上し、バーベルを挙げたら大きく息を吸い込む

・バーベルを下ろし始めるときにはお尻を後ろに引いて股関節を屈曲させる。この時にバーベルを足から離さない

・バーベルが膝に近づいたら、膝を後ろに引いて脛を地面に対して垂直に近づける。バーベルが膝を越えてもバーベルを脛から離さず腰が丸まらない範囲で下ろせるところまで下ろす

RDLでは肩がバーベルの前に出る以外は全てが後ろに動きます。

バーベルが膝にさしかかる前に脛は地面に対して垂直になり、膝ははじめに少し曲げるとき以外は動作中に前に動くことはありません。

膝が前に出るとバーベルを上げる動作で大腿四頭筋が働き、股関節を伸展させて効果を得るという目的からズレてしまうので注意しましょう。

「すべてを後ろにもっていく」という意識を持つと事が重要で、膝ではなく股関節を使うことで大腿四頭筋ではなく、股関節伸展筋群を動員するのです。

ルーマニアンデッドリフトにおけるエラー

膝を前に出してしまう

RDLにおいて1番多いミスが膝を前に出してしまうことです。

RDLのボトム位置では膝の緊張を解きたくなります。バーベルを下ろしていくとハムストリングの緊張が高まり、この緊張は筋肉が短くなるまで解けません。

緊張を解くには2つ

1 バーベルを引き切って股関節を伸展させる

2 ボトム位置で膝を曲げて前に出す

膝を曲げて前に出すとハムストリングの両端が近づき、ハムストリングが短くなるので緊張が解けます。しかしこれを行うと、バーベルを挙げるときに膝を伸展させるためにハムストリングではなく大腿四頭筋が働くことになります。

背中の姿勢が崩れる

背中を完全に伸ばした姿勢を崩してしまうミスもよく起こります。

ハムストリングが股関節を伸展させるときに、脊柱をがっちり固定するために脊柱起立筋がアイソメトリックに働くのもRDLの重要なメリットとなります。

しかし、お尻、膝、バーベルを後ろに引き、踵をしっかりと地面につけて肩を前に出した状態で、胸を張り、肩をそらし続けるこの姿勢を維持するのが難しく、RDLは間違ったフォームで行ってしまいやすくなります。

RDLは動作をゆっくり行う事が難しく、背中が丸まったり膝が前に出たりすると、動作が楽になりますが、狙った筋群への刺激が減ってしまいます。

一方で、背中の伸展を保ち、膝の曲げ伸ばしを起こさずに正しく行うと、高重量のデッドリフトを失敗する直接の原因になる部分を鍛えることができます。デッドリフトとクリーンの補助種目としてRDLを超えるものはないかもしれません。

RDL良いフォームで行うには「胸を張る」「背中を反らす」「膝をひく」と意識が大切です。

胸を張る:胸椎の伸展を保つことを意識させる

背中をそらす:下背部を意識させる

膝を引く:大腿四頭筋を使ってしまうのを防ぐために使いますが、バーベルが足から離れることにつながってしまう場合があります。このときは広背筋を使って「バーベルを引きつける」という意識をもちましょう。

RDLの動作前は「踵に体重をかける」ことを意識するというのも良いでしょう。

重量とグリップ

高重量のRDLではダブルオーバーハンドグリップを使用します。

RDLでオルターネイトグリップを使い、左右の肩に不均等な負荷がかかるのは望ましくありません。

片方を逆手でバーベルを握ると広背筋がバーベルを引きつける働きを十分にできなくなります。

RDLはデッドリフトと比べるとそれほど大きな重量は扱わず、ほどんどの人がデッドリフト1RMの65〜75%になります。

握力が問題になるときはリストラップを使用しましょう。

重要なことは左右ともに順手でバーベルを握ることです。

まとめ

ルーマニアンデッドリフトは、クリーンやデッドリフトの補助種目として1番効果的です。


特にハムストリングスと大臀筋を手動で鍛える事ができるので、日常生活やスポーツ動作で重要な役割を果たし、これらを強化することでパフォーマンス向上や怪我予防につながります。


また、膝への負担が少なく、股関節の可動域を広げる効果もあるため、幅広い年齢層や目的に対応できる万能トレーニングです。


さらに、姿勢改善や基礎代謝アップ、ヒップアップなど美容面でも高い効果が期待できます。